効果的な職場復帰支援プログラム

仕事柄、メンタルヘルス対策について、お客様と話す機会があるのですが、

困っておられる企業は本当に多いですね。


私はメンタルヘルス対策の中でも、予防教育や職場環境改善という領域で、支援をさせていただいておりますが、現在の企業が抱える問題の多くは、職場復帰支援が中心であります。
先日、そうした問題の解決にご尽力されている、メディカルケア虎ノ門の五十嵐良雄 理事長の講演を

拝聴しました。
メディカルケア虎ノ門では、メンタルヘルス不全による休職者に対して、

効果の高い復帰支援プログラム(リワークプログラム)を提供されています。

厚生労働省によると、うつ病や躁うつ病などの気分障害患者数は、近年、増加傾向にあります。
1999年:44.1万人 2002年:71.1万人2005年:92.4万人 2008年:104.1万人
なぜ、これほどまでに増加しているのでしょうか?理由は主に2つあるのではないかと思います。


1.うつ病への認知度が高まり、医療機関への受診がしやすくなった
医療機関、政府、製薬会社などによって、うつ病の認知度を高める広報が展開されています。
CMや電車の中吊り広告などを見たことがある方も多いのではないでしょうか。
これによって、これまでは受診するほどの症状ではなかった人までもが、

医療機関へ訪れるようになったと考えられます。

 

うつ病への認知が高まると、落ち込むことが多く、眠りにくい日が続いただけで、
「もしからしたら、うつかも・・・?」
と考えようになる人が増えるでしょう。
早期発見は重要なのですが、病気を過剰に意識しすぎると、自分をうつ病であると思い込んで、

医療機関を受診するケースが増えるはずです。


うつ病を含む気分障害は、問診ですから、本人がうつ症状を訴える以上、主治医が「あなたは病気ではない」と

反論することは、かなり難しいのではないかと思います。
五十嵐理事長によると、実際、自分をうつ病と決め付けて、受診するケースが増えているそうです。

2.治療の難易度が高くなった
こちらは、五十嵐理事長もお話されておりましたが、従来のうつ病とは特徴が異なり、

しかもそのタイプが多様化しているそうです。
そのため、経験豊富な医師でも病気を正しく診断することが困難になっており、誤った診断をすれば、

治療方法も誤るわけで、一向に病状が快方に向かわないこともあります。
さらに、これまではメンタルヘルス不全患者に対する治療は、投薬と休養であったのですが、

これだけでは改善されない患者が出てきていることも大きな問題です。

このように増加傾向にある気分障害患者の職場復帰を支援するプログラムに、

リワークプログラムと呼ばれるものがあります。


大手企業を中心に、試し出勤(リハビリ出勤)制度が導入されていますが、

リワークプログラムでは、専門施設で職場復帰準備に向けた段階的なプログラムが用意されています。

メディカルケア虎ノ門でのリワークプログラムでは、患者が、職場での日常生活に適応できるような

心身状態を“徐々に”つくっていくようなケアをされています。

 

そのため、プログラムでは、通院日数や頻度を増やしながら、一般的なオフィス環境と類似した部屋で、

デスクワークを行います。
そのほかにも、身体を動かすためのアクティビティやグループワークなどのコミュニケーション訓練も

用意されています。「リワーク・カレッジ」という名称で提供されています。 


五十嵐理事長によると、患者には、主に2つのことを理解していただくようにしているそうです。
・自分の病気を理解すること

・休職に至った理由を理解すること


当然、これらの理解促進のためのコンテンツもプログラムに含まれています。
患者が、これらを理解することによって、なぜ薬を飲み続けることは大切であるか納得できるため、

投薬治療も継続されます。
その結果、症状が改善していくというサイクルを生み出す狙いがあります。
病気や休職理由も含めて、自分を見つめ直し、ストレス対処の観点から他者とのコミュニケーションを

強化していくことで、スムーズな職場復帰を果たし、再発を防ごうとする。
これまでにたくさんの方が職場復帰を果たされており、再発率も低下しているプログラムであるとの

ことですから、素晴らしいですね。

五十嵐理事長は、このようなリワークプログラムを提供する医療機関を集めた研究会も設立されております。
全国の医療機関が会員となっていますので、職場復帰支援でお困りの企業は、是非ご覧ください。

うつ病リワーク研究会