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退職金は前払い

あなたの会社では、退職金はいつ貰えますか?

退職金なのだから、退職する時でしょうと思われたあなた。

 

いま、退職金を前払いする企業が増えてきています。

前払いの方法は複数あるのですが、退職時に貰うはずの退職金を給与や賞与に

上乗せして貰うということです。

 

これからの時代、退職金は前払いにしたほうが良いでしょう。

なぜか?3つの理由があります。

 

 

1.インセンティブ効果が薄れている

 

今後、一つの会社で定年まで勤める社員は減っていきます。

40年以上存続できる企業は減るでしょうし、社員側も複(副)業を持つことが

普通の時代になっていきます。

 

そうした時代において、例えば今年の新人が、40年以上先に貰える退職金を

期待するでしょうか?

 

年功賃金、終身雇用の時代は、「退職金で老後も安心」と謳えましたし、

社員も誰一人それを疑わなかったでしょう。

 

新人からすれば、そもそも40年以上先の未来に、この会社は本当に

存在しているのかと考えるほうが自然です。

そうなると、退職金を貰うことをあてにして生きることや、

安心することのほうがリスクなのです。

 

このようにインセンティブ効果が低くなった退職金であるならば、給与に

上乗せして、今支払ってあげたほうが、社員にとってはインセンティブに

なるのではないでしょうか?

 

もちろん、前払いによって、社会保険料や税金が増えてしまうデメリットも

あります。こうしたデメリットをカバーするには、確定拠出年金の掛金として

受け取るようにしてあげれば、税制面での優遇を得られます。

 

ただ、前払いに変える際には、企業側としては資金繰り計画を見直すなど、

仕組みを整える必要があり、面倒だと思われる方がいらっしゃるのも事実です。

 

 

2.貨幣価値は変わる

 

長期的に円の価値は下がっていくと言う専門家もいますが、将来、

円の価値がどうなるかという議論はさておき、貨幣価値は変動します。

 

40年勤務した場合の退職金は大卒平均2000万円ぐらいですが、

今の2000万円と数十年後の2000万円は、価値が違っているということです。

 

退職金は、貨幣価値の変動リスクを社員が負っているということになります。

 

1人ひとりの社員の利益を尊重するなら、未来ではなく、現在の資産を

増やしてあげるほうが良いのではないでしょうか。

その資産を運用する責任は個人になりますが、金銭管理教育を提供するなど、

サポートのやり方はいくらでもあります。

 

 

3.前払いデメリットは少ない

 

退職金を前払いする場合の企業側のデメリットに、トラブルや不祥事を

起こした社員でも、返金させることができないというものです。

従来型の退職金制度では、懲戒事由などによって、減額や不支給の規定を

設けているでしょう。

 

しかし、あなたの会社で、過去に退職金を減額・不支給した社員の割合は

どの程度でしょうか?たいてい、極めて少人数のはずです。

 

トラブル社員に退職金を全額取られるのは、経営者としては

納得がいかないかもしれませんが、極めて低い可能性です。

 

 

もし、いきなり退職金の前払いへ移行することに躊躇される場合は、

年金タイプか前払いにするか社員に選択させるという方法もあります。

 

 

「退職金は、退職時に支払うもの」

 

本当にそうなのでしょうか?

時代や環境が変わり、社員の価値観も変わってきています。

 

社員の退職後も、充実した人生を送って欲しいと願われる経営者・人事の方は、

今まで通りでいいでしょうという考えを一旦わきに置いて、自社の退職金の

意味を改めて考えていただきたいです。